猫さんのシニア期は、健康状態やその猫さんのからだの変化によって決まるところがありますが、一般的なガイドラインでは7才~10才くらいとされています。
これは、人間でいえば40才代~50才代。
余談ですが、人も50才ごろになれば、今まで食べれていた油っこい物が食べにくくなったり、気づけば食べる量が減った、残念な体型になってきた、なんて心当たりがある人も少なくないですよね。
猫さんのからだもシニア期に入ると変化が起こり始めます。
この記事では、シニア期に入った猫さんの体の変化やそれに伴ったフードの選び方をお伝えします。
目次
シニア猫の健康管理の重要性
シニア期ごろから年齢とともに猫さんの体は変化していっています。
そんな猫さんの体には、体の変化をサポートしてくれる栄養とケアが重要です。
心当たりありませんか
- 食べる量は変わっていないのに肥満になる。
- 足が弱ってからだを支えられなくなる。
- 下痢や便秘をしやすくなる。
- 病気になりやすくなるなど。
健康を支え、エイジングケアをしてくれるシニア猫用フードを活用しながら、おうちの猫さんがいくつになっても毎日をすこやかにすごすために、サポートをしてあげたいですね。
ずっと一緒に生活していたのに、私が変化に気づかなかったんです。
ふと気付けば動きが鈍く、フードも水分も摂る量がガクンと落ちていて。
そこで、それまでのフードを小さな粒のカリカリに替えて、ウェットフードと混ぜて与えることで、
ゆっくりですが完食するようになりました。
水分補給のためにちゅーるをあげたのも良かったんだと思います。
冷静にそれができたのは、かかりつけ医さんから、「食べなくなったときの対処法ね。」と教わっていたからだと思います。
7才になったからとすぐにフードを替えませんでしたが、いざというとき、どうしたらいいのかを知っていてよかったです。
メモ
若いころにはよく動きエネルギーを消費しやすかった猫さんも、関節を傷めたり関節痛が起こりやすくなるし、筋肉の量もおちてきます。
シニア期になると運動と食事の管理が必要になってきます。
シニア猫になると起こる変化
7才からのシニア猫さんの具体的な変化。
1体型
猫も人と同じで年をとるとともに、からだを支えるためのエネルギーである基礎代謝が落ちていきます。
基礎代謝が落ちることで、体重が増えたり減ったりしやすくなります。
シニアになって太る理由
猫さんの動きが鈍くなることも太る原因になります。
こうやって太っていきます
- 年齢とともに動きがゆっくりになっていく。
- 若いころと同じフードの量ではカロリーが多すぎる。
- カロリーが多すぎて体脂肪が増えやすくなる。
- 体脂肪が増えると、筋肉の量が減るので太る。
かわいいけど、こんな危険があります。
太るとからだに悪い影響を与えます
- 細菌やウイルスからからだを守る、抵抗力がさがる
- 内臓に脂肪がこびりつくことで、臓器が弱くなる
- からだが重くなるので、関節に負担がかかる
ちょうど良い体重の猫に比べると、糖尿病にかかりやすかったり、皮膚の病気にかかりやすくなります。
シニアになってやせる理由
老化が始まると、
気づきにくいポイント
- 食欲が減り始める。
- 筋肉の量が減る。
- 食べているのに体重が減る。
このような変化が始まりやせていきます。
動く機会が減ることで食欲が落ちますが、食欲は年齢とともにだんだんと減っていくので気づきにくいです。
フードをどれだけ残しているかを注意して見てあげてくださいね。
短い期間でどんどん体重が減っていくのは、病気が原因かもしれません
年をとることで動くことが少なくなったり、からだを守る力が減ることで、病気にかかりやすくなります。
体重の減り方が気になったら、すぐにかかりつけ医さんに相談しましょう。
どんどんやせていくので、かかりつけ医さんに診てもらったら腎臓の病気だったんですね。
そんな病気があることは知っていたのですが、いざ病名を聞いたときは、ほんとうに不安とショックで、これからどうしてあげていいのか。と、ただただ落ち込みました。
獣医さんのアドバイスで、腎臓病用のシニア猫フードに替え、水分をしっかりとれるように工夫したことで、20才まで生きてくれました。相談してほんとうによかったです。
体型に変化が出てきたらフードを見直すサインです
シニア用フードは、メーカーによって素材の内容が違います。
お店に行くと種類がいろいろあり迷いますが、
「これは値段が安い」
「おいしそうだ」
という理由より、健康な猫さんの場合は、体型に合ったフードがおすすめです。
2便の状態
毎日、猫さんのトイレのチェックをしていますか。
年齢とともに便秘や下痢のように、便の状態が変化することも多いので、便は毎日要チェックです。
便秘(便が出にくくなる)
原因
- のどが乾いていることに気づきにくくなり水分不足になる。
- 関節に痛みがあったり筋肉の量が減ることで運動不足になる。
- 胃腸のはたらきが弱くなる。
ふだんから、便の回数をチェックしてあげると変化に気づきやすくなります。
またトイレが汚れていることも便秘の原因になります。
シニア猫さんが気持ちよく過ごしやすいように、まめに掃除をしてあげてくださいね。
メモ
便秘の目安 = 2日以上、便が出ていない時
便秘を改善するには
便の状態と食事で関係があるのは、食物繊維です。
食物繊維を多めに与えることで便秘の解消につながります。
メモ
やせているシニア猫さんは気を付けて
食物繊維は摂りすぎると、食物繊維でおなかがいっぱいになってしまいカロリー不足になります。
それが原因で日頃からあまり食べない猫さんの場合、ますますやせてしまいます。
また、繊維質の多いフードを食べ過ぎていると、便秘になりやすくなります。
水分不足も便秘の原因になるので注意が必要です。
繊維質の多いフードでは、サイリウムという繊維質が含まれたフードがおすすめです。
サイリウムは水分を含みやすいので、便をやわらかくしてくれます。
軟便(便がやわらかくなったり、水のような便になる)
原因
- 胃腸がはたらきにくくなる。
- ストレスを感じやすくなる。
- 消化できないものを食べてしまう。
- 腸や腎臓の病気の影響。
- 生きるための最低限のエネルギーである基礎代謝が減る。
原因によって対処も変わりますが、軟便や下痢は、消化と関係していることがあります。
軟便を改善するには
消化できないことが原因の下痢の場合
フードをふやかしてあげるなど、弱くなった胃腸にやさしい食べ方を工夫してあげたいですね。
また、ウェットフードやシニア猫用のフードに切り替えてあげるのもいいと思います。
まだフードを替えたくないなら、サプリメントで栄養を補ってあげましょう。
3食の好み
高齢になると起こりやすい食の好みの変化
原因
- 歯が悪くなって固いものが食べれなくなる。
- 年をとると、においの感覚や味がわかる機能が低下し、においがわかりにくくなり、味を感じなくなる。
- 好き嫌いのある子が、ますます好き嫌いになる。
- おなかの調子がよくないと、食の好みが激しくなる場合がある。
シニアになってから食の好みがかわるのには、さまざま原因があるようですが、おなかが空いているのに食べれない、という状況にあるとしたらかわいそうですよね。
なんとしても食べれるフードを探してあげたいです。
そのためにはまず、かかりつけ医さんに相談してください。
もし歯に原因があるのなら歯の治療が必要だし、消化がうまくいってないのであれば薬が必要かもしれません。
体調を整えてあげたら食べてくれます。
もしそれでも食べない時は
食べやすいフードに替えるタイミングだと考えていいと思います。
メモ
食の好みが激しい猫さんは気を付けて
シニア猫用のフードにむりやり替えると、食べなくなることがあります。
替えることで食べなくなる場合は、今までのフードに戻してあげてください。
もし、今食べているフードで太ってしまうようであれば、フードの量を少し減らすなど、コントロールしてあげましょう。
「おなかの調子が悪い」「病気用のフードを使う必要がある」などの理由で、やむを得ずフードを替える場合は、今のフードを少しずつ新しいフードに混ぜながら、10日~1カ月かけてじっくり替えていってあげましょう。
フードでできるシニア猫さんの健康管理
猫さんの状態に合ったフードを与えることは、猫さんの健康を保つことに大きな影響を与えます。
フードが与える影響には以下のことがあります。
- 栄養バランス
- 体重管理
- 毛並みや皮膚の健康
- 胃腸の健康
- 歯の健康
- 関節のサポート
あなたの猫さんに合ったフードを選ぶことは、猫さんの健康としあわせに直接栄養を与えてくれる、たいせつな要素です。
猫さんの年齢や健康状態、特別な必要に合わせたフードを選ぶことが重要です。
健康に問題はないが体型が気になる猫さんの場合
太ってきている場合
今使っているフードの量を、約1~2割減らしてみてください。
3~4カ月後に変化が出てくるでしょう。
ポイントは、むりにフードを替えるのではなくまずは、今のフードで量を調節してみることです。
理由
- フードを替えることによって便の状態が崩れることがある
- 好みの激しい猫さんは、新しいフードに替えたことで食べなくなる可能性がある。食べなくなってしまったら、空腹時間が長くなることで肝臓に負担がかかりやすくなる。
- フードの量を減らしたことで、もっとフードを欲しがる場合は、シニア用のダイエットフードを検討してみる。
ひとくちメモ
ダイエットフードの特徴 = 食物繊維が多め = 満腹感が得やすい
通常のフードの食物繊維量 | 2~5% |
ダイエットフードの食物繊維量 | 8%~15% |
おまけ
ねだられるままにおやつをあげていませんか。
この記事を読んだ今日からすぐに止めましょう。
おやつをあげるのは、あなたが決めた時だけにしてあげてくださいね。
やせてきている場合
少しの量でもカロリーがしっかりとれて、たんぱく質が多いフードを選びましょう。
高齢になると腎臓病になりやすいので、たんぱく質は控えた方がいいと言われますが、健康なのにやせている猫さんは、たんぱく質を控えない方がいいです。
たんぱく質を控えない方がよい理由
たんぱく質は筋肉のために必要な栄養素。
不足していると不足を補うために自分の筋肉を分解し始める。
この場合たんぱく質を大量にとっていることと同じになるので、腎臓に負担がかかる。
自分の筋肉を分解してしまうと、たんぱく質を多くとるよりも、古いたんぱく質と新しいたんぱく質の入れ替わりが激しくなり、腎臓に負担がかかりやすくなる。
しかも、筋肉が分解されてしまうと、どんどんやせてしまう。
やせている猫さんで腎臓が元気な猫さんは、たんぱく質多めで高カロリーのフードを選びましょう。
便の状態が気になる
便の状態は、年をとることによってどんどん変化していきます。
便秘の猫さんに必要な栄養素
●食物繊維を多めに(食物繊維量5%以上のフード)
便秘じゃないおとなの猫さんは2~5%が目安
●乳酸菌やオリゴ糖入りのフード
おなかの調子に合わせて使いましょう。
●ちょうどいい体型、やせている猫さん
食物繊維 + カロリー不足にならないフード
軟便の猫さんに必要な栄養素
●食物繊維を少なめに(食物繊維 2~5%)
●脂肪のとりすぎが原因の場合:脂質15%以下のフードを選ぶ
メモ
消化に良く、原材料名の最初に「動物性たんぱく質」と書かれているフードを選ぶ。
※原材料は含まれている割合の多い順番に書かれている。
腎臓病と尿路結石が気になる
病気用のフードを勧められている猫さん
病気用のフードは成分が優先されるので、決められたフードを選びましょう。
替えたフードをどうしても食べない場合
まずはかかりつけ医さんに相談です。
食べない原因を探してもらい、食べる工夫を教えてもらうためです。
食べないからと勝手に食べやすいフードに替えるのは、病気が悪くなる可能性もあるのでおすすめできません。
以前に結石が見られた猫さん
ちょっと結石が心配な猫さんの場合は、腎臓病用のフードが最優先です。
そんな猫さんの場合、かかりつけ医さんから
「ホームセンターなど、市販で売っている物でも、食べれるものならなんでもいいですよ。」
と許可されているなら、フードの選び方のアドバイスを受け、各栄養素の数値をよく確認してからフードを選んでくださいね。
メモ
理想の栄養素が入っているものが療法食(病気用のフード)です。
療法食以外で理想的な栄養素が入っているフードは、ほぼありません。
それでも、どうしても食べない場合には、食べられるフードの中で、なるべく理想の数値に近いものを選んであげてください。
シニア猫の健康をサポート!シニアフードの導入とタイミング/まとめ
シニア猫さんにとって、いちばん優先されるべきは、食べることです。
どんなに質の良いフードであっても、猫さんが食べなければ、なんの意味もありません。
メモ
「どうしても食べない」などのトラブルがあるときは、
かかりつけ医に相談しながら、理想のフードを見つけてあげてくださいね。
療法食(病気用のフード)を食べない猫さんにおススメできそうなフードとして、市販の「腎臓健康維持ケア」やシニア猫用のフードがあります。
そんなフードの中から、外袋に書かれている栄養値を見て、理想的な数値に近いフードを選んであげてください。
若い時から好き嫌いが多い。
一度決めたフードを替えたくない場合には、年齢に関係なく与えられるフードがあります。
市販でも買えますし、自宅に届けてほしい場合には、通販で購入できるものもあるので紹介します。
成分 | |
たんぱく質 | 37%以上 |
脂質 | 14.88%以上 |
粗繊維 | 5.25%以下 |
エネルギー | 387.5kcal (100gあたり) |
引用:ジャガーキャット公式サイト
成分 | |
たんぱく質 | 33%以上 |
脂質 | 15%以上 |
粗繊維 | 4.75%以下 |
りん | 1.2% |
エネルギー | 389kcal(100ℊあたり) |
引用:株式会社レティシアン公式サイト
今そばにいる、あなたのたいせつな猫さんが楽しく食事ができて、健康的にすごすことができるように、これからのフードを選ぶ参考にしてみてくださいね。