猫カフェで読書をしたいけど読みたいものがない!おすすめはある?

猫カフェで読書をしたいのよ。

でも、いざ選ぶとなると難しくて…

確かに。

猫カフェに常備されている本を読むのも良いですが。

自分で選びたい気分もありますよね。

お任せあれ。

  • 本屋さんに駆け込まなくていい。
  • 通販で買わなくても大丈夫。
  • 持ち運ばなくてOK。
  • 無料で気軽に読める。

というメリットだけを抽出。

「そんなうまい話あるわけないでしょ!」

と叫びたい気持ちもわかりますが落ち着いて。

上記を重視し、今回、青空文庫様より厳選いたしました。

個人的に選抜した名作3選。

こちらを難易度順にご紹介。

紹介の順番はこう!

  • 初心者向け
  • 中級者向け
  • 上級者向け

では、いきましょう。

 

作品をご紹介する前に

おすすめをご紹介する前に、2点ほど前置きを。

そもそも青空文庫とは?

  • 著作者本人から承諾を得た作品
  • 著作権保護期間が過ぎた作品

を無料で公開している場所のこと。

青空文庫HPはこちら

つまり簡単に言うと。

読書好きにとっての神様。

青空文庫様には足を向けて寝れません。

紹介の仕方

  • 作品名(+作者)
  • 読書の難易度
  • 登場人物
  • あらすじ
  • 物語のみどころ

という構成で進行していきますよ。

基本的にあらすじは薄めでお届け。

赤飯でもチャーハンでも炊き込みご飯でもなく。

お粥くらいの気持ちです。

「あらすじ」は取り扱いが繊細なものですからね。

知りたい基準は人それぞれ!

「ここまで知りたい」

「そこまで知りたくない」

が分かれます。

あらすじは物語の入り口。

読者の気持ちを削いだり、妨げるものになっては意味がありません。

準備はよろしいですか?

ではいきましょう。

 

「人間椅子」

作品名「人間椅子」

作者…江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)

〜初級者向け〜

さくさく読める。

電車で例えるなら各駅停車ではなく快速。

必要なのは好奇心だけ。

登場人物

  • 佳子(よしこ)…作家。
    夫は外務省書記官。
  • 私…佳子に手紙を送った人物。

あらすじ

とある日。

佳子の元へ、奇妙な手紙(原稿用紙)が届く。

差出人の名前はない。

恐怖と好奇心を胸に、佳子は綴られた文に目を走らせていくが_。

タイトルだけ見ると、そうですね。

「ホラーなの?」

「サスペンス?」

と思われる方もいらっしゃるかも。

でも、敢えてそれには答えないでおきましょう。

物語のみどころ

「人間椅子」に関してはごめんなさい。

正直、見どころをお届けしたい気持ちは山々です。

実際お届けするつもりでいました。

が、しかし。

この作品に関してはどこをどう切り取っても。

何をどう言っても。

ネタバレになる気がしますので、口をつぐむことにします。

代わりにエジプト神話の神ホルスを置いておきます。

トト神もいいですよね。

さあ、手土産を渡したところで。

気を取り直して人間椅子の話の続きといきましょう。

構成は、至ってシンプル。

佳子が手紙を読み進めていくだけですから。

「手紙を読んでるだけの何が面白いの?」

と思うかもしれませんね。

面白いんだなぁ、これが。

「さすが江戸川乱歩先生!」

という感じです。

読了後に拍手喝采。

湧き上がる歓声。

まさにスタンディングオベーション。

少なくとも私はそうだったのですが。

ひゅっと薄ら寒さを覚える方も、いらっしゃるかもしれませんね。

え?何故かって?

それはその…ふふふ。

おや?何ですか?

「とぼけてないで教えろ」って?

駄目ですよ。ノストラダムスの顔しても。

教えられません。

「さもなくば雷を落としてやろうぞ」

とばかりにゼウスが来たら、話はまた別ですが。

読み終わる頃には理由がわかります。

ここでは例の手紙の冒頭だけご紹介しましょう。

奥様、

奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様な不躾な御手紙を、差上げます罪を、幾重にもお許し下さいませ。

こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。

引用元:人間椅子(青空文庫)

*此様な…このような

この手紙のインパクトたるや。

手紙冒頭からクライマックスです。

「おいおい一体これから何が始まるんだ!」

と思うでしょう?

「嫌な気配がするわ!止まりなさい!」

「でも先の展開が気になりすぎるからGO GO!」

というジレンマを味わって欲しいですね。

ちなみに、こちらを読むときはソファをおすすめ。

その方が感情移入ができますし。

より臨場感を味わえます。

全ては読んでからのお楽しみ。

結末は読み手の解釈で分かれると思います。

あなたはどう思ったのか。

どう解釈するのか。

ぜひ、お聞かせ願いたいですね。

 

「檸檬」

作品名「檸檬(れもん)」

作者…梶井基次郎(かじい もとじろう)

〜中級者向け〜

日本語の美。

人間らしい鬱屈さと、ある種の爽快が味わえる。

派手な起承転結が好きな人は合わないかも。

「文学をエンターテイメントと見る」

のか、それとも。

「文芸としての美しさを味わうか」

で好みが分かれる。

後者の方向き。

登場人物

  • 私…物語の語り手。
  • 檸檬…れもん。重要アイテム。
  • 丸善…書店。以前の「私」であれば好きだった店。

(登場”人物”でないものがありますが一応、記述しておきます)

あらすじ

目的地なき散歩中、ふと立ち寄った果物店。

いっとう鮮やかな檸檬をひとつ手に、「私」は街を歩き続ける。

最後に足が止まった先。

それは、丸善だった。

積み重ねた本を眺めるうち、あることを思いついた「私」は_。

さあ、この作品ですが。

作品名、「檸檬」なのがいいと思いませんか。

「林檎」でも「蜜柑」でもないわけです。

主張色が「黄色」である点もポイント。

例えば黄色い声とか言いますよね。

「きゃー!こっち向いてー!」

とか。

星とか、ニコちゃんマークも黄色でしょう?

ところが一方で。

「立ち入り禁止!」

とか。

信号機にも含まれますよね。

「歓喜と危険」

相反した意味を持つこの色こそ、今作に相応しいわけです。

さあ、そしてこの物語。

いわゆる「起承転結」が派手な話ではございません。

もっとわかりやすく言いましょう。

〜起承転結の例〜

起→事件が起こる!

承→捜査は難航…。

転→諦めかけたその時、事件の目撃者を発見!

結→犯人逮捕!〜完〜

伝わるでしょうか?

起承転結の物語というのは、こう。

「目的地に向かって山あり谷ありの道を歩く」

でも「檸檬」は違います。

今作はさながら汽車といったところ。

「行きたい場所は特に無いけど、車窓から外を眺めて過ごす」

というイメージ。

停車駅では下車せず過ごし、そうして急に窓をぶち破り。

「せいや!」

と地面に飛び降りる。

そんな感じなんです。(※危険ですので絶対に真似しないでください)

「ちょっと何言ってるか分からないからブーメラン投げるね」

などと変な気を起こさないで。

いやいや、今作を読んだらわかるはず。

本当にこんな感じなんですって。

物語のみどころ

沢山ありますがキリがないので一つに絞ります。

それは何か?

「緻密な情景描写」です。

例えばあなたが、「果物店」について書くとして。

どんな文章を思い浮かべますか?

あるいは綴るでしょうか。

「ところせましと並べられた〇〇(果物名)」

「爽やかな匂いが漂う〇〇(店名)は、」

等ですかね。

でも、そういった描写じゃないんです。

まるで絵画でも見ているよう。

美術館に立ち寄って、ひとつの作品の前で立ち尽くすあの感覚です。

ただただ圧倒され、茫然自失。

そんな感覚を味わいます。

では実際に、梶井基次郎が「果物店」を文という絵の具で描くとどうなるか。

行きましょう。

何か華やかな美しい音楽の快速調の流れが、見る人を石に化したというゴルゴンの鬼面_的なものを差しつけられて、あんな色彩やあんなヴォリウムに凝り固まったというふうに果物は並んでいる。

引用元:檸檬(青空文庫)

*快速調(アッレグロ)…allegro。音楽用語。「早い」速度を意味。

いかがですか?

「え?本当に果物店?」

と目をひん剥かんばかりの鮮やかさ。

まるで宝石店にでも来たかのようです。

さて、この果物店。

夜になると、「私」の目にどう映るか。

続きを見ていきましょう。

(上略)店頭に点けられた幾つもの電燈が驟雨のように浴びせかける絢爛は、周囲の何者にも奪われることなく、ほしいままにも美しい眺めが照らし出されているのだ。

引用元:檸檬(青空文庫)

*驟雨(しゅうう)…にわか雨。夕立のこと。

*絢爛(けんらん)…華やかで美しい様子。

いかがでしたか?

あまりの美しさに、脳内で消化するのに時間を要しますよね。

「檸檬」を読んで、自分の語彙の無能さ。

文章の拙さに何度打ちひしがれたことか。

素晴らしい文章は、いつだって心揺さぶるもの。

まさに現実世界で疲れた砂漠の心を癒すオアシスなのです。

さあ、ちなみにですが。

この果物店で「私」は檸檬を買うのですよ。

もちろん、これはキーアイテムです。

これ無しでは「檸檬」は語れません。

予測不能な今作ですが、例えばそうですね。

「俺だってレモン買いたかったのに!」

などと謎な理由で呪われるとか。

いきなり海からポセイドンが出てきてくるとか。

そういった奇想天外物語ではありません。

そう断言しておきます。

一体彼は、丸善で何をする気なのか。

お楽しみに。

 

「吾輩は猫である」

作品名「吾輩は猫である」

作者…夏目漱石(なつめ そうせき)

〜上級者向け〜

文体が堅く、物語の尺が長いと感じるかも。

  • 「読みづらい」
  • 「とっつきにくい」

といった印象を受ける可能性あり。

ざっと500ページほど。

文章を読むのが苦痛じゃない人向け。

登場人物

  • 吾輩(わがはい)…色々あって珍野先生宅で暮らしている猫。
    この物語の語り手。
  • 珍野苦沙弥(ちんのくしゃみ)…胃腸が弱い英語教師。
    漱石自身がモデル。

(この他にも珍野先生を取り囲む個性豊かな友人知人が登場)

あらすじ

生まれて間もなく捨て猫として彷徨っていた「吾輩(猫)」

幸か不幸か、ひょんなことから珍野家で暮らすように。

「吾輩(猫)」の視点から描かれる人間たちの姿とは_?

吾輩は猫である。名前はまだ無い。

引用元:吾輩は猫である(青空文庫)

誰もが一度は聞いたことのあるこのフレーズ。

作品のタイトルであり、冒頭ですね。

しかし実際のところ。

「読了済み!」

という方、案外少ないのではないかと思いまして。

猫目線の物語なのはきっとご存知のはず。

だからこそ、皆さんが今作に対して持つイメージ、どうですか?

「のんびりほのぼの」

とか。

「毎日が突飛で不可思議!」

とかでしょうか。

今作に上記のイメージをお持ちの方。

朗報です。

きっと裏切られると思います。

おそらく「吾輩」に対してこんな認識でいるのかも。

「吾輩=マスコットキャラクター」

「吾輩(猫)が人間に優しく寄り添ってくれる」

そのイメージでいたら多分、アッパーを喰らいます。

「吾輩」が人間に対して述べる見解に、遠慮容赦などありません。

春風のような爽やかさはないですし。

カラッと乾いているわけでもなく。

じめじめ湿っているわけでもない。

「じゃあどういうものなの」

と聞かれても困るといった次第。

「えー!ちょっとだけでも教えて!このボタン押してあげるから」

という方に向けて。

「難しすぎる…」

と苦渋に満ちながら、みどころを執筆しました。

次の項目をご覧ください。

物語のみどころ

個人的ポイント

  • 「吾輩の視点から見た人間という種族や個体」
  • 「それに対する「吾輩」の見解や分析」

を読めるのが、醍醐味のひとつかなと。

物語が進むにつれ「吾輩」の視野は広がり。

次第に彼は悟りを開いていきます。

どんな悟りか。

ではここらでひとつ、引用するといたしましょう。

どうせいつ死ぬか知れぬ命だ。

何でも命のあるうちにしておく事だ。

引用元:吾輩は猫である(青空文庫)

見解や分析は、経験と知識から成るもの。

語り手である「吾輩(猫)」も例外ではありません。

主観的に語る物事には、彼自身の体験が大きく関与しています。

人間と猫、生き物同士の関係性。

それらが密接に作用し合い、ストーリーが進行していくのです。

例えば「吾輩(猫)」が、人間に対して抱く見解。

これに着目してみましょう。

物語の序盤で、彼は人間についてこう述べます。

元来人間というものは自己の力量に慢じてみんな増長している。

引用元:吾輩は猫である(青空文庫)

既にこの一文だけで、生やさしい猫でないことがお分かりでしょう。

人間のことを淡々と。

そして時にユーモラスを交えて語られていくのです。

さあ、ラスト付近ではどう述べているか。

呑気と見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする。

引用元:吾輩は猫である(青空文庫)

このあたりまでくると、どうです?

「あれ?なんか想像と違う」

と思うでしょう?

思わずクスッとなったり。

感傷的になったり。

考えさせられたり。

あなたがどれに該当するかは、読んでからのお楽しみ。

では最後に、印象的なこの2行をご紹介して終わりにしたいと思います。

つまらない。

自ら求めて苦しんで、自ら好んで拷問に罹っているのは馬鹿気ている。

引用元:吾輩は猫である(青空文庫)

*罹(かか)って

*馬鹿気(ばかげ)ている

こちらの2行に関しては、あえて言及はいたしません。

物語の結末は予想だにしないものであるはず。

ぜひ、ご自身の目で確かめて欲しい一作です。

 

猫カフェで読書をしたいけど読みたいものがない!おすすめはある?:まとめ

いかがでしたか?

個人的おすすめ3選はこちら。

  • 人間椅子(初級者向け)
  • 檸檬(中級者向け)
  • 吾輩は猫である(上級者向け)

ぜひこれを機に、日本の名作を読んでみてはいかがでしょうか。

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