気まぐれな猫ちゃんの食事については、飼い主さんの心配も尽きませんよね。
私の猫も、高齢で病気を患うようになってから食事の量が減って、いつも気が気ではなかった記憶があります。
猫のご飯が少なくなってしまうのは、猫の習性やストレス、えり好み、病気…本当にさまざまな原因が考えられます。
少しでも「明らかにおかしいな」「いつもと違うな」と飼い主さんが感じたら、すぐに獣医師さんに相談しましょう!
ということを前置きして、家でできることや飼い主さんが気を付けることのできるポイントをまとめていきます。
目次
ご飯が少ない猫、その理由は?
猫がご飯を食べる量が少ない理由は、主にこんなことが考えられます。
猫の習性によるもの
猫はもともと、ライオンなどと同じ野生動物。
お腹が空いたら狩りに出かけ、獲物をとって食べ、満足したら寝る…という生活が本能として身についています。
猫にとってご飯とは、「常に準備されているもの」ではないのです。
よって、猫は気分でご飯を食べたり食べなかったり、少量ずつ食べるのを何回も繰り返したりと、人間の食事とは全く違うスタイルであることも多いですよね。
1回で食べる量が少ない気がする…
という場合には、
- 1日に何度も食べているか?
- 1日の総合摂取カロリーの目安をクリアしているか?
など、1回1回の量ではなく1日の総合量で判断してみましょう。
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体調が悪い
人間と同じで、猫も体調が悪いと食欲が低下するもの。
猫特有の口腔内の病気(歯周病など)や内臓系の病気など、その可能性は多岐にわたります。
ご飯が少ない期間や、ほかにも見られる症状など、あらゆるポイントをチェックしてみてくださいね。
こちらの記事で詳しく解説していますので、気になる方は読んでみてください。
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猫には適量のご飯をあげよう
野生の習性から、「好きな時に好きなものを食べる」のが一番良いと考えられがちな猫。
実は飼い猫の場合、ご飯の量は長生きするためにも非常に大切なポイントだったんです。
ここからは、猫に与える適量なご飯について知っておきたいことをまとめてみます。
猫の適量なご飯の量
猫のご飯、適量を算出する方法はさまざまですが、一番簡単で確実なのは、フードのパッケージ裏に書かれている量を目安にすることでしょう。
ポイント
体重に対して給与量が記載されていますが、この「体重」とは現在の猫ちゃんの体重ではなく、理想の体重を示しています。
間違えないように注意しましょう!
猫の適量なご飯の回数
成猫の場合
成猫の場合、食事は1日2回が理想。時間帯は朝と夜が一般的です。
1日1食だと空腹時間が長くなってしまい、1回の食事で一気に胃に食べ物が入ってしまうので嘔吐しやすくなってしまうのです。
子猫の場合
生後3ヶ月までの食事は、1日5~6回に分けて少量ずつ与えるのが好ましいといわれています。
内臓も未発達で、1日2食だと食べ過ぎてしまい、胃に大きな負担がかかってしまうのです。
生後3ヶ月を過ぎて体つきがしっかりしてきたら、1日2~3回に回数を減らし、1回の量を多くしてみましょう。
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猫の適切なご飯の内容
猫の年齢によっても異なりますが、大まかなライフステージで分けるとこんな感じです。
猫のご飯の内容
子猫:栄養価の高い総合栄養食がベスト
成猫:栄養価の他にバランスのよい食事が大切に
高齢猫:食べやすさを重視してやわらかいもの、胃に優しいものを無理させない量で
妊娠中、授乳中の猫:普通の猫よりも多くのエネルギーが必要に
そして、猫には食べさせてはいけないものもたくさんあるのです。
きちんと覚えて、食事管理に役立ててくださいね。
猫は魚介類が好きというイメージがあるのでついつい与えてしまうこともあるかもしれませんが、できれば加熱したものがよいでしょう。
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どうして猫のご飯は適量が良いの?
猫はもともと野生動物で、ご飯を適量食べることには向いていないはず…。
それなのに、ご飯の量がそれほど大事になる理由はどういったものなのでしょうか?
健康維持のため
人間と同じように、猫も食べることで身体の中に熱を作り出します。
活動エネルギーというものですね。
その熱を身体から逃がさないようにするため、私たち人間は服を着て身体を温め、体温を保つことができます。
が、猫にはそれができないのです。
猫にとって活動のエネルギー源となるその熱をキープするには、適切な食事をすること以外なすすべがない…ということになります。
野生の猫は、たとえ1回の食事が少なくても、お腹が空けばまた食べ物を探しに出歩きます。
1回の量が少なくても、高頻度で食事をして、1日に必要な摂取カロリーを満たしていれば問題ないのです。
かといって、過剰な食事量もまた、猫の健康を損なってしまう要因に。
「ご飯ちょうだい♪」と甘えられると、好きなだけ与えてしまう人も多いのではないでしょうか?
しかし、身体の小さな猫はまだ胃や腸が未発達なことも。
消化・吸収がまだ上手でない猫に多量の食事を与えてしまうことで、嘔吐や下痢の原因にもなるのです。
猫のご飯は少なすぎてもダメ、多すぎてもダメというのが、厳しいようですが現実なんですね。
肥満防止のため
ご飯が少ない猫ちゃんとは対照的に、肥満防止のためにも食事量の管理は重要ポイントになります。
そうですね、野良猫は確かに食事管理してくれる人はいませんから、1日中好きなときに好きなものを食べて生きています。
でも、ぽっちゃりしていかにも動きづらそうな野良猫ってあまり見かけないと思いませんか?
それは、野良猫の運動量が関係しています。
野良猫は飼い猫と違って、外を自由に走り回ったりご飯を探して放浪したりと、その活動量は目覚ましいのです!
摂取カロリーが消費カロリーを大幅に上回るため、肥満気味の野良猫はあまり見かけないというわけです。
逆に、室内飼いの猫はどうしても運動不足になってしまいがち。
それなのに好きなときに好きなだけご飯を食べていては、肥満になるのは自然なことですよね。
人間と一緒で、肥満はさまざまな生活習慣病の原因になります。
特に室内飼いの猫ちゃんの食事量は、気を付けてあげなければいけないですね。
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猫の食欲不振が引き起こす症状
猫の食欲が低下したまま、1日の必要摂取カロリーを満たせない状態が続くと、健康リスクも低下してしまいます。
引き起こされる可能性のある病気や症状をまとめてみます。
脱水
食事だけでなく水分補給もできていない場合は、脱水にも気を付けてあげましょう。
下痢や嘔吐などの症状もみられている場合、脱水になるスピードが早まり危険です。
脱水は、猫の小さな身体にとってはとてもリスクの大きい症状になります。
腎臓などの臓器に影響し、重度になると命にかかわることも。
また、「ご飯は食べないけど水は飲む」というケースもあります。
水さえ飲んでいれば安心…と思いきや、そこも人間と猫の違う点。
異常に水を飲む場合であっても、身体に何らかの異変が起きている恐れや、脱水で喉が渇いてしまっている可能性があります。
通常であれば水を飲めば回復しますが、何らかの病気にかかってしまっている場合にはさらに脱水が進行してしまうことも。
肝リピドーシス(脂肪肝)
猫のご飯の量が少ないまま栄養が足りなくなると、肝リピドーシス(脂肪肝)という病気にかかるリスクが高くなります。
肝リピドーシス(脂肪肝)とは、体内の脂肪が分解されて肝臓に溜まってしまうこと。
特に肥満気味の猫が何日もご飯を食べないと、罹患する確率の高い病気なんです。
肝リピドーシス(脂肪肝)の治療は長くかかることでも有名。長期の入院治療をすることになります。
猫のご飯が減ったらチェックしたいこと
猫のご飯が少ないと悩み始めたのは、つい最近のことでしょうか?
その猫の食欲や体質、体型にもよりますが、もし「今まではよく食べていたのに少なくなった」ということであれば、こんなこともチェックしてみてください。
急にフードを変えていませんか?
昨日まであげていたフードと違うものを突然出していませんか?
そして、「慣れれば食べるだろう」と思いずっとそのフードを与えてはいませんか?
猫は気まぐれな反面、食事に対するこだわりが強いことでも知られています。
一度「食べたくない」と思ったものには意地でも口をつけず、餓死することを選ぶ猫もいるといわれているほど。
「そのうち食べるだろう」が通用しない動物なのです!
私も猫を飼っていた頃やっていた方法なのですが、今のフードに新しいフードを少しずつ混ぜながら慣らしていく方法がおすすめです。
そういう場合には、
- 食べ慣れたフードの小さいサイズをもう一度買って、混ぜながら与える
- ウェットフードなど、猫が食いつきそうなトッピング素材を混ぜながら慣れさせる
という方法もおすすめです。
いずれにせよ、猫ちゃんが新しいフードに対して「これなら食べても良いかな」と思ってくれるよう仕向けることが大切ですよ。
食事やトイレの場所を変えていませんか?
猫は少しの環境変化でもストレスを感じてしまうもの。
それが食欲に直結することも珍しくはありません。
特に多いのが、食事場所やトイレの場所を変えること。
たったそれだけの変化で、猫ちゃんにとっては「平穏な日常が変わってしまった」というくらいのインパクトある出来事になってしまいます。
食べ慣れた場所、そして排せつもし慣れた場所に戻してあげることで、ご飯も安心して食べてくれるかもしれません。
ちなみに、私が飼っていた猫はご飯を食べる量が減ってきたとき、逆にその時の食事場所とトイレの場所が良くなかったようで…
プチ模様替えをしてみたら食欲が湧いてきた!というケースでした。
そのときの配置は、食事場所の隣がトイレだったんです。
きっとニオイとか気になっていたんだろうな…
配置に気を配ってあげられなくて、反省しました。
おやつをあげすぎていませんか?
猫に甘えられると、おやつもついついあげてしまいますよね。
しかしあくまで娯楽として、1日に必要な総エネルギー量の20%に抑えてあげるようにしましょう。
参考:ちゅ~る公式サイト
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猫のご飯が少ない!こんな思い込みに注意
猫のご飯の量が減ってきたと気づいても、安易な気持ちで「大丈夫だろう」と思い込んでしまうことが危険なケースも。
猫ちゃんの異変に気が付いてあげられるのは飼い主さんだけ。
適切な処置をしてあげられるよう、こんな思い込みに注意しましょう!
ストレスだと思い込む
最近引っ越した、模様替えをしたなど、心当たりのあるストレス要因がない場合には、安易に「ストレスかな?」と考えないようにしましょう。
心当たりもないのに様子を見続けてしまうと、病気にかかっていた場合見逃してしまうことにもなりかねません。
また、仮にストレスだとしても放置し過ぎてずっと少食状態でいさせることは厳禁。
ストレス要因での食欲低下でも、先にご紹介した脱水や肝リピドーシスにかかる可能性は十分にあるからです。
ご飯を食べる量が少なくなってからしばらく経つ場合、何日も改善しない場合には獣医師さんに相談するようにしましょう。
高齢だからと思い込む
高齢ということが原因で、どんどんご飯の量が減るということは、実はめったにないそう。
大半は、高齢が原因で何らかの病気にかかることで食欲が低下していくという順序なんです。
病気にかかっている場合は、もちろん動物病院にかかり、適切な治療をしながら改善に向けて力を尽くしましょう!
病気の診断をされていない高齢猫ちゃんで、ご飯の量が減り続けているようであれば、受診してみてくださいね。
ひとまず大丈夫そう、と思い込む
「よく分からないけど、まぁ大丈夫かな」というあやふやな判断で、ギリギリまで様子を見てしまうことも避けたいですね。
明らかに食欲が低下しているのに、「一口くらいは食べるから」という理由で様子見を選んでしまう飼い主さんもまれにいるそう。
また、「ご飯が減った」どころではなくまったく食べなくなってから1週間近く経って動物病院に行く人も…。
当たり前のことですが、治療が遅れればそれだけ猫の体調が改善する可能性も低くなります。
猫のご飯の量が少ない?食欲低下で気を付けたいこと:まとめ
猫のご飯の量が少ないと感じた時、家庭で気を付けられること、見直せる点はたくさんあります。
猫ちゃんにもっとたくさん食べてほしい!と思ったら、食欲の妨げとなっていそうなあらゆる可能性を考え、排除してあげましょう。
家庭で手を尽くしても適量を食べられない猫ちゃん、体重が減ってしまっている猫ちゃんは、動物病院に連れて行ってあげてくださいね。
気まぐれな野生動物の猫ちゃん。
マイペースでもきちんと栄養は摂って、いつまでも元気でいてほしいですね。