元気な猫ちゃんの突然のくしゃみ。
私も幼少期猫を飼っていたときには、1回2回のくしゃみは「可愛い!」とはしゃいだりマネしたりしていました。
しかし、何度も何度もしていたり、止まらなくて苦しそうだったりしたら…?
実はソレ、見逃してはいけない病気のサインや猫の体からのSOSかもしれないんです。
この記事では、猫のくしゃみの原因や可能性のある病気、病院を受診する目安についてまとめました。
目次
猫のくしゃみはどんなときに起こる?
猫のくしゃみは人間と同じく、
- 生理現象としてのくしゃみ
- 病気による症状の1つ
の2つに分けられます。
ほこりや刺激の強い臭いを吸い込むと鼻がムズムズし、反射的にくしゃみが出ますよね。
また、人間にとっては刺激物でないものが、猫の敏感な嗅覚を刺激するケースもよくあります。
料理中にキッチンに猫がやってきてくしゃみが出たら、調味料やスパイスの臭いによるものでしょう。
キッチン以外だと、例えば漂白剤や洗剤のツンとした臭いも同様。
お香やヘアオイルなど、人間にとっては良い匂いだからと日常的に使っているものでも、猫にとっては刺激物になることもあります。
そして、好奇心旺盛でいろいろなものをクンクンと嗅ぐ猫ちゃんは、知らないうちに鼻に草などの異物が入ってしまっていることも。
その場合くしゃみの勢いで出てくるケースが多いですが、詰まってしまっていることも考えられます。
あまりにも鼻を気にしてくしゃみが連発しているようであれば獣医師さんに診てもらいましょう。
こういったケースでくしゃみと共に鼻水が出たとしても、透明でさらっとしているものが多いのに対し、病気によるくしゃみは少し違ってきます。
くしゃみや鼻水が止まらなかったり、鼻づまりまで起こしている場合には単なる「生理現象」とは言えない可能性があり、観察が必要。
生理現象としてのくしゃみで出る鼻水が透明でサラサラなのに対し、病気によるくしゃみで出る鼻水は粘り気があったり黄色っぽかったりと、明らかな違いも見られます。
くしゃみを連発しているときは、合わせて鼻水の状態もチェックしておきましょう。
くしゃみを引き起こす猫の病気
猫のくしゃみを引き起こす主な病気はこちら。
猫風邪
猫風邪と呼ばれるこの病気は、ウイルスや細菌によって起こります。
くしゃみ、鼻水、咳などの風症状が見られますが、どのウイルスに感染したのかで症状にも違いがあるそう。
感染力も強く、他の猫にもうつりやすいのが特徴。多頭飼いをしているご家庭では特に注意が必要です。
ワクチン接種で予防できます。
こんなにある!猫風邪の種類
- 猫ウイルス性鼻気管支炎:くしゃみや鼻水に加えて、咳や発熱、目が赤くなるなどの症状がみられます。感染力が強く飛沫感染も。
- 猫カリシウイルス感染症:くしゃみや鼻水、発熱のほか、口内炎やそれによる食欲の低下などがみられます。空気が乾燥する冬に発症することが多く、感染力が強いので多頭飼いのご家庭では注意が必要。
- 猫クラミジア感染症:くしゃみや鼻水のほか、目やにが出ることがあります。それにより結膜炎を引き起こすことも。子猫がかかりやすいといわれています。
クリプトコッカス症
クリプトコッカスは、鳥の糞や土壌など自然界に発生するカビの一種。
このカビを吸い込むことで、くしゃみや目やに、鼻水などの症状があらわれます。
鼻にしこりのようなものができたり、顔が腫れたりする場合もあります。
ヘルペスウイルス感染症
ヘルペスウイルスが目や鼻の粘膜に感染し、結膜炎やくしゃみなどの症状を引き起こす病気です。
鼻づまりや鼻水も起こるので、そのせいで食欲が低下する特徴も。
子猫がかかりやすく、また発熱や肺炎も引き起こしやすいので注意が必要な上、飛沫感染する病気なので多頭飼いのご家庭では感染した猫ちゃんを隔離する必要もあります。
アレルギー性鼻炎
ハウスダストやダニなどに対するアレルギー反応による鼻炎症状です。
鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目やに、そして皮膚のかゆみなど、よく知られているアレルギー症状が見られます。
アレルギーの原因が花粉の場合は、人間の花粉症と同様スギやひのき、ブタクサなどに反応していますので、心配な方はアレルギー検査をしてみると良いでしょう。
私が以前飼っていた猫は、毎年同じ時期にくしゃみをしていたことから「これは花粉症なのでは」と思い、動物病院を受診したことがあります。
薬をもらったり、アレルギー症状を抑えるために花粉シーズンが過ぎ去るまでなるべく外に出さないようにもしていました。
こういった家庭でできる小さなことで、微力ながらも症状を緩和することはできていました。
アレルギー反応でくしゃみが止まらない猫ちゃんはなるべく室内で過ごしてもらったり、室内でもハウスダストやダニなどアレルギーの原因になるものを取り除いてあげるだけでも楽になるでしょう。
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副鼻腔炎(蓄膿症)
副鼻腔という鼻の奥の空洞に炎症が起きる病気っが副鼻腔炎です。
鼻炎が悪化し副鼻腔炎を引き起こすケースが多く、薬を飲んで治療する必要があります。
悪化すると、くしゃみの連発や膿の混じった鼻水、鼻血が出ることもあります。
高血圧
11歳以上のいわゆるシニア猫ちゃんは高血圧のため鼻から微出血することがあります。
そのせいで鼻の粘膜が刺激され、くしゃみをすることも。
歯の病気
あまり知られていないのですが、実は歯の病気もくしゃみと鼻水を引き起こします。
歯の感染症は細菌を副鼻腔という鼻の奥の空洞に定着させてしまうため、そこで炎症を起こし、くしゃみとして症状が出るのだそう。
また、歯につく汚れ「歯垢」の中の細菌が炎症を起こすことも原因の1つ。
実は歯の病気といっても、ご存知の通り上あごの歯の根元は限りなく鼻に近い位置にありますよね。
そのため、歯の病気が進行するとそれを支えている骨にも影響があり、炎症を起こしたときに細菌が鼻にも侵入してしまうのです。
マイコプラズマ
くしゃみや鼻水、咳、発熱といった症状があり、結膜炎や感染性関節炎を引き起こすこともある病気です。
人にも感染し、動物や昆虫、なんと植物にまで感染する特徴があります。
猫エイズウイルス感染症
血液や唾液からのみで、空気感染はしない病気です。
猫エイズにかかっている猫にかまれたり交尾したりすることでも感染することがあります。
感染後はくしゃみや下痢などの軽い症状が数週間~数ヶ月にわたって続きますが、一旦は治まることが多いそう。
ですが、一度かかると自然治癒するものではなく、体内では少しずつウイルスによってリンパ球が破壊されてしまいます。
それ以上の症状はあまりないと言われていますが、数年~数十年もの間猫エイズウイルスによって免疫力が損なわれていくのが怖いところ。
徐々に体が蝕まれていき、弱い菌などにも感染しやすくなるなど、体自体が弱くなってしまうのです。
こういった病気の可能性も考え、少しでも異変が見られたら動物病院で診てもらうのが良いでしょう。
猫のくしゃみは病院に行くべき?
猫のくしゃみで病院にかかるべきかどうかは、以下の項目を目安にしてみると良いでしょう。
ココをチェック!
- くしゃみや鼻水が連発していたり、1日の中で何度も見られる
- 目やにが出ている
- 鼻水の色が黄緑がかっていたり、血が混ざっていたりする
- 発熱がある
- 食欲がない
- 顔が腫れている
- 口内炎や歯の病気がある
飼い主さんの勘で、「これはいつもと違うな」と感じたらすみやかに受診!という感覚で問題ありませんよ。
くしゃみは予防できる?
飼い主さんの小さな工夫1つで、猫のくしゃみを予防することはできます。
私たちが生活する中での対策と大きく変わりませんが、猫は人間よりも体の小さな生き物。
よりいっそう気を付けてあげると良いでしょう。
部屋を清潔にする
くしゃみや鼻水などのアレルギー症状を引き起こす原因の1つが、ほこりやハウスダスト。
それらを取り除くためには、部屋を清潔に維持することが基本中の基本です。
特に冬など空気が乾燥している季節にはウイルスが繁殖したり空気中を舞ったりしやすいので、加湿器などを使い適度な湿度も保ってあげると良いですね。
こまめにブラッシングをする
猫は自分で体をきれいにしますが、その毛にほこりやダニが付着していると一緒に飲み込んでしまいます。
こまめにブラッシングしてあげることで、常に毛を清潔に保ってあげましょう。
ワクチン接種をする
ワクチンは子猫のうちからしっかり受けさせてあげましょう。
ワクチンだけではなく、定期的な健康診断で獣医師さんに診てもらう機会をもうけると、猫の異変にも気が付きやすくなりますよ。
私も猫を飼っていた頃は爪切りなど小さなことでも動物病院にかかっていましたが、猫の特徴や気を付けるべき点など「うちの猫ってこんな子」という基本的な情報を獣医師さんに分かっておいてもらうことで安心したものです。
猫のことを一番知っているのはもちろん飼い主さんですが、飼い主さんが猫のことを知っているだけでは病気の早期発見につながりにくいのも事実。
室内で飼う
外で他の猫と接触する機会を減らすことで、さまざまな病気に感染するリスクを減らすことができます。
私の猫も、病気をきっかけに完全室内飼いに切り替えたことがありました。
すると、体調不良になることが驚くくらいなくなったんです。
こんなふうに、日常の何気ない部分に少し気を配るだけで猫ちゃんの体を守ってあげることができます。
猫がくしゃみ連発!元気だけど病院に行くべき?原因や予防策も:まとめ
猫のくしゃみ1回や2回であれば可愛いとすら思うけれど、連発していると心配になりますよね。
その原因は生理現象で気に留める必要のないものから、重篤な病気のサインであるケースまで様々であることが分かりました。
くしゃみ1つにしても、猫ちゃんの異変にいち早く気づいてあげられるのは飼い主さんだけ。
少しでも「いつもと違う」「嫌な予感がする」そんなふうに感じたら、すみやかに獣医師さんに診てもらってくださいね。