どんな猫ちゃんにもかかる可能性のある、腎臓病。
腎臓に負担をかけない、腎臓病用のフードもありますが、なかなか食べてくれない…というお悩みも多いですよね。
私が飼ってきた猫ちゃんの中にも、腎臓病を患った子がいました。
長く付き合っていかなければいけない腎臓病だからこそ、食事にはこだわりたい!
そんな飼い主さんの思いに応えるべく、腎臓病用のフードを食べないときの対策をまとめました。
1つ1つクリアして、大切な猫ちゃんに長生きしてもらいましょう。
そして、一緒に過ごせる時間を大切に、できるだけ長く隣にいてもらいましょう!
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※専門家が目的別に徹底解説しています。
目次
猫の腎臓病について知ろう
そもそも腎臓とは、尿を作ったり血圧を調整したりする臓器です。
人間にも猫にもありますね。
その腎臓のはたらきが、何らかの理由で鈍ってしまうことを、腎臓病といいます。
腎臓病には「急性」と「慢性」の2種類があります。
違いを見てみましょう。
急性腎臓病とは
腎臓病の中でも、感染症や中毒によって発症するものをいいます。
進行スピードが早く、迅速な治療が求められます。
慢性腎臓病とは
長い年月をかけて、腎臓の機能が徐々に低下していく病態をいいます。
どんな症状?
腎臓の機能が低下する病気、腎臓病。
同じ腎臓病でも、上でご紹介した「急性」と「慢性」では症状も違うんです。
どちらにも共通しているのは、早期発見が重要だということ。
腎臓病かも…という疑いが見られたら、様子見は厳禁。
ただちに獣医師さんに診てもらいましょう。
急性腎臓病の症状
- 食欲がなくなる
- 元気がなくなる
- おしっこの量が減る
- 水を飲む量が減る
慢性腎臓病の症状
- 水をがぶ飲みする
- 尿の色が薄く、量が多い
- 口内炎や胃炎が起きる
- 食欲がなくなる
- 嘔吐がある
- 貧血を起こす
- 毛ツヤがなくなる
これらの症状が見られたら、腎臓病の症状が進んでしまっている可能性があります。
また、症状が見られなくても病気が進行している恐れもありますので、定期的な健康診断も欠かさないようにしましょう。
発病の原因は?
猫の腎臓病は、性別や種類に関係なく発症する可能性のある病気なんです。
そして、ここでも「急性」と「慢性」で原因が異なってきますので、それぞれ見ていきましょう。
急性腎臓病の原因
- 脱水などにより腎臓に流れる血液の量が減ること
- 感染症
- 農薬やユリ中毒などで腎臓にダメージを受けること
- 尿道閉塞や尿管結石で排尿がうまくできないこと
注目したいポイントは、あまり聞き慣れないかもしれないユリ中毒。
飼い主さんの中で、自宅にユリを飾っている人はいませんか?
そのユリ、猫の健康を脅かすかもしれません。
猫がユリの葉をかじったり、花粉が口に入ったり、また花瓶の水を飲んだりすることで、ユリ中毒にかかってしまう可能性があるからです。
慢性腎臓病の原因
- 高齢であること
- ウイルスの感染
- もともとの腎臓の発育によるもの
- 飲水量が少ないこと
慢性腎臓病に関しては、急性腎臓病よりも原因が明確になっていないものも多いのだそう。
フードに気を配っていても、腎臓病になってしまう猫ちゃんはたくさんいます。
慢性の場合は、飼い主さんの不注意である可能性は低いそうなので、どうかご自身を責めずに、上手に付き合っていく方法を考える方が良案でしょう。
どんな治療が必要?
では、猫が腎臓病になったらどのような治療を受けるのでしょうか。
これもまた、「急性」と「慢性」で違ってくるのがポイント。
「急性腎臓病」は、発症した原因を突き止め、症状に見合う治療を行うことが多い一方、「慢性腎臓病」はそれが難しく、病気の進行を緩やかにする治療になります。
急性腎臓病の治療法
- 入院する
- 脱水症状を防ぐための点滴を行う
- 病状に合わせて薬剤を投与する
- 症状を安定させていく
慢性腎臓病の治療法
- その段階で機能してくれている腎臓のはたらきを維持させ、病気の進行を緩やかにする
- 血液中の老廃物を排出するための点滴や水分補給をする
- 入院ではなく外来治療
- 背中の後ろから点滴剤を注入する「皮下補液」という治療を行う
- 腎臓に負担をかけない食事療法や投薬を行う
完治はするの?
実は、腎臓病を完治させる方法は現代の医療ではまだないのだそう。
腎臓の組織は、一度破壊され機能しなくなると、元に戻すことが難しいのです。
よって、治療というのは残っている腎臓の機能をできるだけ長持ちさせ、病気の進行を遅らせるということが目的になります。
腎臓に負担をかけない食事療法や投薬によって、完治はしなくとも、十分に長生きすることは可能なんですよ。
予防策はあるの?
猫の腎臓病を予防するために、飼い主さんにできることをまとめてみましょう。
日ごろから健康状態を確認しよう
腎臓病を引き起こす原因は、日常生活に転がっています。
たとえば先にご紹介した尿路閉塞やユリ中毒。
猫の尿に異常がないか、食欲に変化はないかなど、日ごろから猫ちゃんの様子をよく観察しておくことが大事です。
ユリや農薬など、猫が口にすると危険なものは、家の中に置かないようにすることももちろん先決ですね。
定期的に健康診断を受けよう
猫は当然おしゃべりもできなければ、マイペースに生きる動物。
病気を隠すのが上手な動物なんて言われたりもするんです。
そんな猫ちゃんだからこそ、定期健診を受けることはとても重要。
定期健診を受けていれば、腎臓病の症状が出る前に発見することも可能なんです。
特に慢性腎臓病は、飼い主さんが症状に気が付くころにはかなり進行してしまっているケースが多いんですよ。
高齢猫になると慢性腎臓病にかかりやすいので、今まで健康だった猫ちゃんであっても、健康診断を受けて体調を把握してあげましょう。
食事環境に気を配ろう
腎臓病を防ぐためには、腎臓に負担を与えない食事環境を心掛けましょう。
塩分の多い食べ物や人間の食べ物を与えるのは避け、総合栄養食と記載されたフードを与えるのがベストです。
フードについては、次の項目で詳しくお話していきますね。
腎臓病用のフード「療養食」とは
腎臓病の治療法の1つである「食事療法」では、療養食とよばれる食事に切り替わります。
腎臓病の猫ちゃんに合わせた、負担の少ない食事のことですね。
療養食ってこんなご飯!
- 良質なタンパク質が適度に含まれる
- カリウムが豊富に含まれる
- リンが制限されている
- 鉄分・ビタミンが含まれる
この療養食、実は猫界では圧倒的に不人気。
「療養食になった途端食べなくなってしまった!」というお悩みも多いんです。
最初から嫌って食べない子もいれば、腎臓病が進行し腎臓が弱くなっていくにつれて食べなくなっていく子も。
どうして猫は療養食を食べないの?
腎臓が悪くなっていくと、体の中の毒素を腎臓から排出できなくなります。
そして、体の中に毒素が溜まってしまうのです。
そうすると体調が悪くなり、口の中の粘膜や胃、腸などあらゆる部分がただれてしまい、食欲がなくなっていきます。
そのため、腎臓病の治療では点滴や投薬によって毒素を排出するわけですが、それでも病気の進行スピードによっては食欲が戻らない猫ちゃんも多いんです。
食事療法に切り替えるのは、猫ちゃんに十分な食欲があることが大前提となるそう。
体を維持していくため、より多くのカロリーを摂取してもらう必要があるからです。
それでは、療養食になるおすすめのフードをご紹介しますね。
カナガンキャットフード
チキンを主原料としたキャットフード・カナガン。
なんとイギリスのエリザベス女王より表彰されたこともあるほど、高品質なフードなんです!
腎臓機能を正常に維持するためのオメガ3脂肪酸も豊富に含まれており、栄養バランスも完璧。
モグニャンキャットフード
腎臓病だけでなく、さまざまな健康ケアのために良質な食材が配合されたキャットフードです。
腎臓ケアに良いとされているのは、クランベリーやセイヨウタンポポが配合されているほか、オメガ3脂肪酸も充実しているという点。
すべての猫種、そして年齢に対応した優しいフードなので、高齢猫ちゃんの腎臓病にも。
グランツプレミアムキャットフード【サーモン】
グランツは、猫ちゃんの健康な毎日を考えて作られたフードです。
人工添加物は一切使われておらず、無添加。
オメガ3脂肪酸を含むサーモン・マスを動物性タンパク質が豊富に含まれており、腎臓ケアにもピッタリです。
猫が療養食を食べないとき
そんな不人気な療養食。
猫ちゃんの健康のために、どうしても食べてほしい!!という飼い主さんも多いはず。
猫ちゃんが腎臓病用の療養食を食べてくれないときの対策についてご紹介します。
味や食感を変えてみる
同じ療養食でも、ドライフード、ウェットフード、パウチフードなど、味や食感が違うものがたくさん展開されています。
猫の食欲が良い感じに増えているタイミングで、その味や食感をこまめに変えてみてください。
そうなんです。食べないタイミングで変える方法は、あくまで食べなくなってしまったときの最終手段のようなもの。
猫がよく食べているタイミングでコロコロ変えていくことで、猫は「おいしい」と感じながらいろいろな種類のフードを楽しむことができ、こまめにローテーションしていけば飽きも防ぐことができるというわけです。
また、フードを変えなくてもドライフードにお湯をかけてあげるだけで、違った食感が楽しめて食べてくれるようになる子もいますよ。
フードを温めて香りを出す
キャットフードを温めるというのは、あまり耳にしない方法かもしれませんね。
でも、ご飯を食べなくなってしまった猫ちゃんにはとても効果的なんですよ。
キャットフードは、温めると香ばしい香りが出ます。
私たちが食べるご飯も、温かいものは冷たいものよりも香りが立ちますよね。
お湯をかけてみたり、レンジでチンしてみたり、大体37~38℃くらいに温めると食べやすくなります。
嗅覚の強い猫ちゃんですから、香りを出せば出すほど食欲がそそられ、食べてくれる子が多いんですよ。
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保存方法を変えてみる
ドライフードの療養食を与えている場合は、保存方法を見直してみると良いかもしれません。
ドライフードは、酸化すると酸化臭を放ちます。
猫にとってはあまり良い香りとはいえず、食べたくなくなってしまうんですね。
保存容器を上手に活用して、いつでも新鮮なフードを与えてあげるようにしてみてください。
先にご紹介しているレンジで温めるという方法でも、酸化臭を消すことができますよ。
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食事環境を変えてみる
猫は、食事環境ひとつでストレスを感じてしまう生き物。
落ち着いて食事ができる場所に食器を置いてあげたり、トイレや寝床から距離を開けて置いてあげるなど、環境作りにも気を配ってあげましょう。
手作りフードをあげてみる
毎日毎食手作りというのは大変なので、ローテーションの中の1つに手作りフードも入れてみてはいかがでしょうか?
手作りとなると、栄養バランスなどが難しいのも事実なのですが、極論、食べないよりは食べてくれるほうが嬉しいですよね。
肉や魚、野菜をふんだんに使った手作りフードを与えてみて、どんな食材や食感であれば食いついてくれるのか見てみるのも良い方法です。
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徐々に療養食に移行していく
食べ慣れたフードから突然療養食に変えてしまうと、猫はその変化に敏感に気づきます。
一般的なフードに比べて、猫にとってあまり好みでない療養食。当然ですよね。
療養食に切り替える際は、まずいつものフードに少しだけ療養食を混ぜて与えてみてください。
療養食が混ざっていることに猫が気づくか気づかないかというくらい、少ない量から混ぜ込んでいくのがポイント。
混ぜていく療養食の量を日に日に多くしていき、最終的に療養食に切り替えることができれば大成功です!
1~2週間ほどかけて、ゆっくり切り替えていきましょう。
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療養食に出汁スープをかける
鶏肉や魚を煮込んで出汁が出たスープを、療養食にかけてあげるという方法も良いアイデアです。
温かいスープをかけることでフードの香りや風味も豊かになり、猫ちゃんの食欲をそそるでしょう。
また、フードも適度にふやけて食べやすくなりますね。
療養食の香りを強める
療養食の香りを強めて、猫ちゃんの食欲を刺激するとても簡単な方法をご紹介します。
用意するもの
- だしパックやお茶パック
- かつお節
たったこれだけ!
そして、方法もとてもシンプル。
かつお節をだしパックまたはお茶パックに入れて、それを猫ちゃんの療養食と一緒にタッパーで密閉。
そのまま保管するだけです。
これで、猫ちゃんの大好きなかつお節の香りが療養食に移って、食欲を促進させる!というわけなんです。
退院直後に療養食を与えない
腎臓病で入院していた猫ちゃんに療養食を与えるには、しばらくおうちでゆっくりしてからスタートするのがベストです。
退院直後の猫ちゃんは、飼い主さんが思っている以上にストレスを感じています。
しばらくは、住み慣れたおうちで、食べ慣れたフードで心を落ち着かせてあげることを優先してあげましょう。
おうちでの生活再開に慣れてきたら、徐々に療養食への移行をスタートさせるのが良いですね。
猫が腎臓病用のフードを食べない!試してほしい裏ワザまとめました:まとめ
腎臓病の猫ちゃんでも、できるだけ美味しい食べ物を楽しんでほしい!
健康も大事だけれど、食事で幸せを感じてほしいと思うのが親心ですよね。
腎臓病用のフードを食べてくれなくて困ったら、この記事のことを思い出してみてください。
猫ちゃんと飼い主さんが、少しでもストレスなく健康な生活を送れることを祈っています。